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韓国系アメリカ人ブッカーの話

韓国の格闘技ニュースサイト『MFIGHT』が在米韓国系エージェントのジョン・ハンという人物にインタビューをしている。このインタビューでは、ストライクフォースのスコット・コーカー氏に韓国人の血が流れているという、あまり知られていない情報もあるので、以下に紹介する。

※※※※引用開始※※※※※

――まずは自己紹介をお願いします。
ハン 名前はジョン・ハン(JOHN HAN)。米国カリフォルニア在住でMMA関連のエージェントをしている。現在は“MMAエージェント”という会社でケン パビア(フィル・バローニ、ブレット・ロジャースらのマネジャー)と協力しながら、韓国やアジア選手の招聘業務、また選手のスポンサー問題やMMA団体との交渉についても担当している。MMA以外の仕事もしているが、現在は格闘技の仕事に多くの時間を割いている。

――エージェントとしては、どんな仕事をしていますか?
ハン 韓国の選手がアメリカに進出する手助けをしている。正確に言うと、アメリカを含め、世界中で活動しているさまざまな団体に、韓国選手を紹介する仕事をしている。現在、韓国にいるエージェントの紹介でコリアン・トップチーム(KTT)のハ・ドンジン監督と知り合い、KTTの所属選手やいくつかのチームの選手のために動いている。

――アメリカの市場において韓国人選手や韓国のMMAに対する認識はどのようなものですか?
ハン 何人かの韓国人がメジャーイベントに進出したことで注目は集まりつつあるが、中小団体が韓国内にないこともあり、それ以外の選手についてはほとんど知られていないのが現状だ。アメリカでもプロモーターと話をすると、「強い選手がいそうだが、試合ができずにいる選手たちが多く、まだ成長を見守る必要がある」といった話がよく出る。

――UFCで、キム・ドンヒョン、秋山成勲、デニス・カーンなどの韓国系ファイターが活躍しているが、アメリカにおける彼らの評価は?
ハン アメリカではキム・ドンヒョンが最も有名だ。“スタンガン”というキャッチフレーズで多くの人々が「彼の技術は非常に素晴らしい」と評価している。ただ、もっと大きな試合を行なうためには、もっとたくさん試合に勝つか、派手なKOを見せなければならないだろう。UFCで最高の地位に立とうとするなら、勝ち星以外にも“ほかの何か”を見せることが必要だ。外国人選手であるなら、なおさらだ。韓国で作られた秋山成勲とデニス・カーンの因縁やストーリーといったものは、アメリカ、とくにUFCでは何の役にも立たない。秋山はUFCでまだ1試合しただけなので、どうとも評価することはできないが、相手のアラン・ベルチャーはUFCのトップランカーではなかったので、今後はもっといい試合を見せなければならないだろう。デニス・カーンは前回の試合で、ある程度自信を取り戻したようなので、これからもチャンスはあるだろう。

――アメリカでMMAはスポーツ産業全体の中では、どの程度の比重で発展しているのでしょうか? 
ハン もちろんメジャースポーツと比較すれば、まだ足りない部分も多くあるが、MMAは本当に恐ろしい速度で成長しており、無限の可能性を秘めている。ここ数年の内に世界で最も有名なスポーツになる可能性もある。とくに若い年齢層からの反応が熱いし、アマチュア大会や柔術、MMA同好会、ジムなど、時間がたてばたつほど、さまざまな部分で発展していくことが予想されるので、未来は非常に明るいと言えるだろう。

――UFC以外のMMAイベントはどんなものがあるでしょうか? 
ハン ストライクフォース、ベラトールFC、『アフリクション』などがいわゆるメジャーイベントと言えるだろう。ただ、『アフリクション』にはいろいろな不安要素がある(インタビュー時は『アフリクション』崩壊前)。また、すべてをお話するわけにはいかないが、ヨーロッパでも速いスピードでMMAが拡大していて、中にはレベルの高い大会もある。近い将来、ヨーロッパにも大規模なMMAイベントが出てくるのではないかと見ている。

――アメリカのMMA主催者の中で、韓国進出を計画している組織はありますか? 
ハン 現在、ベラトールFCのシーズン2で韓国人選手を起用する話を進めている。選手を招聘する以外にも放映権の交渉など、いろいろと進めるべきことが多いので、それぞれよい結果が得られるよう努力している。多くの方々の関心と応援が必要だ。うまくいけば、それぞれ4階級のトーナメントに韓国人選手が出場できると思う。

――ストライクフォースのスコット・コーカー社長が韓国系と聞きましたが、本当ですか? 
ハン 事実だ。私も最初は驚いた。ハインズ・ワード(NFLのスター選手で母親が韓国人)のように、アメリカ格闘技界において、最も有名な韓国系の人物の一人ということになるかもしれない。韓国系アメリカ人という事実が非常に嬉しかった。お母さんが韓国の方だそうで、コーカー氏自身も生まれてしばらくは韓国で過ごしていたという。ただし韓国語をほとんどできない。記者会見で初めて会ったとき、私が韓国人であることを知って私に韓国語で挨拶してきたことがあったよ。
現在、彼のストライクフォースとも選手のブッキングや韓国進出について意見を交換しているところだ。次に会ったら韓国名があるかどうか聞いてみたいな。

――最後に韓国の格闘技ファンに一言お願いします。
ハン このビジネスを成功させることが一番の目標だが、これからもずっと努力することを約束するし、そうすることでいい結果もお知らせできると思う。韓国の格闘技市場はバブルが弾けてしまったという気もするが、まだまだ熱意や関心を持って協力してくれる方も多いので感謝している。わずかなスター選手だけでなく、多くの選手に関心を持ってマスコミやファンの人が応援してほしい。そうすれば多くの選手が大きく成長できるだろう。韓国にはそういう選手がたくさんいる。負担も大きいのも事実だが、最善をつくして韓国の選手にとっていいチャンスが得られるよう、努力を続けるつもりだ。韓国格闘技界がまた活性化されるのならば、ケン・パビアが率いる50名の選手を韓国の大会に出場させることも可能だ。その他、問い合わせや事業提携などの依頼があれば、
korea@mmaagents.comに問い合わせてほしい。

※※※※引用終了※※※※※

スコット・コーカーに韓国人の血が流れているからって、日本人的には「それがどうした?」という話なのだが、韓国ではこれまでに秋山成勲、デニス・カーンという韓国系のスターファイターが韓国で大人気を博していることから、韓国格闘技界においてはけっこう重要なニュースなのだ。ただし、これまでの活動を見る限り、ストライクフォースが韓国人を大量に起用したり、韓国大会を開催するなどといったことは考えにくいが、少なくとも韓国人的には少し親近感の沸くイベントになるだろう。

それよりも韓国では少し前にベラトールFCのビヨン・レブニーCOOがチーム・フォースのハン・スーファン、キム・デウォン、そしてKTTのソ・ドゥウォンらの名前を挙げて、ベラトールFCのシーズン2に参戦する可能性があると言っていたが、これでブッキングを担っていた人物がジョン・ハン氏であることが判明した。最近、日本であまり姿の見られなくなったKTTやチーム・フォース勢が、いよいよアメリカに進出する覚悟を決めたようだ。

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チョン・ジェヒとは何者か?

jaehee.jpgK-1 MAXでの山本“KID”徳郁のKO負けは凄まじいインパクトがあった。当日、僕はコメントブースでこの試合を観ていたが、僕だけでなく観ている関係者や記者すべてが騒然としてKIDのKO負けにド肝を抜かれていた。

KIDをKOしたチョン・ジェヒは、勢いのあるKIDのパンチを冷静にスウェーで見切って、カウンターでアッパーを組み込んだコンビネーションを当てていたように、非凡なセンスの持ち主であることはわかった。しかし、いったいどれほどの実力者なのかについては、情報が少なくわかりづらいという点もあるので、MAX開催前に韓国の『MFIGHT』が掲載していたチョン・ジェヒのインタビューを紹介したい。

kamipro.comでの韓国格闘技情報で紹介することも考えたが、K-1 MAXの前は『UFC100』などの注目大会が多かったこともあり、残念ながらその掲載を見送っていた。ここであらためてその記事を紹介したい。インタビューは7月8日に掲載されたもの。

※※※※※以下、『MFIGHT』からのインタビュー全文※※※※※※

――タイではどのように練習してきたのか? 
ジェヒ プーケットで8ヵ月、バンコクで3ヵ月、合わせて約11ヵ月練習していた。できれば韓国で練習したいが、どうしても環境がよくないので本場でレーニングしたと思った。とりあえず3年間の計画だったが、とりあえず1年やってみて、ムエタイとK-1はちょっと違うなと感じている。今回の試合が終わったら、トレーニング場所を日本に移すかもしれない。

――ニックネームは“闘鶏”になっているが、理由は? 
ジェヒ 自分は背が低いのでインファイトをするしかないし、性格的にも闘うときに、相手の顔色を見て闘うのが好きではないから。ただ、練習をずっと続けているとあまり緊張もしなくなったし、ずいぶん余裕もできた。以前は何も考えずに闘っていたが、いまは相手の弱点を見つけて冷静に試合をしようとしている。

――ムエタイとK-1はスタイル的に違いがあるのでは? 
ジェヒ まず基本的なリズムはムエタイのスタイルに行くだろう。1ラウンドのゴングが鳴れば何度か蹴ってみて相手を把握するつもりだ。だが、様子を見るのは30秒だけだ。そのあとは新人のときのようにインファイトに徹するだろう。3ラウンドは最初から考えないでいる。 2ラウンド中に勝負の賭けに出るだろう。KIDが倒れるか、自分が倒れるか、二人のうち一人はマットに寝ているだろう。日本の記者がインタビューしにきて「KIDのパンチは本当に強い」と言っていたが、自分にはよくわからない。自分も簡単にKOできる選手ではないし、全然怖くない。真っ向勝負をする。

――KIDはどんな選手だと考えるか? 
ジェヒ じつは彼は自分の好きな選手だった。兵役で軍隊にいるときからKIDを観ていたが、常にKOを狙うスタイルなので好きだった。もちろん硬そうで筋肉質な身体も好きだ。ただ、打撃の技術はトップクラスであるとは思わない。打撃も練習した方法によってできたものではなく、変則的で本能的なスタイルだと思う。本能を重視する点は自分と似ている。違いがあるとするならば、KIDはエリートアスリートだったが、自分はジムでトレーニングを積んだという点だろう。怖くはないし、むしろ試合をするのが楽しみだ。

――KIDは日本の格闘技界で最高のスター選手だ。韓国の選手として、このようなチャンスはめったにないが、今回の試合はあなたにとってどんな意味があるのか?
ジェヒ 簡単に言うとLOTTO(ギャンブル)のようなものだ。KIDは日本の英雄だし、誰も自分が勝つとは思っていないだろう。彼は強い選手だから。勝てば大当たりだが、負ければただ2000ウォン(約150円)を失なうだけだ。俺に失なうものは何もない。ギャンブルで勝つかどうかは自分の能力次第だ。韓国の60キロ級に、こんな選手がいるということを日本の観衆の目に焼き付けたい。

――KIDをどのように分析しているか? 
ジェヒ とりあえずスピードがいい。パンチは一発もらえばダウンしてしまうかもしれないが、俺もバカではないので簡単にはもらわない。当てられるものなら当ててみろ。当てられない自信はある。自分は簡単にKOされる選手ではない。

――今回の試合で準備したことは?
ジェヒ 特別な作戦はない。もともと左の蹴りが自分の中心的な武器だが、今回は相手がサウスポーなので右足の蹴りをたくさん使うことになると思う。KIDは自分よりも体格がいいので、タイでは大きな選手を相手にスパーリングをたくさんしてきた。ダウンもさせられたし、目にもアザができた。相手の動きにどう反応するかという作戦はある。だが作戦は作戦であって、リングの上では本能的に動くつもりだ。

――日本のK-1本戦は初めてだが、緊張すると思うか? 
ジェヒ 自分ではまったく緊張しないと思っているが、ほかの人は自分が緊張すると思っているようだ。タイのラジャダムナンスタジアムで試合をしたことがあるが、最初はタイの観客の熱気とその施設に驚いて緊張した。だが慣れてからはよくなった。日本でもある程度は緊張しそうだが、それは自分自身で解決しなければならない問題だ。

――日本での試合なので、一方的な応援とKIDに対するホームアドバンテージがある可能性もあるが、それは気にするか? 
ジェヒ 少し前にMAキックに出場したことがある。自分が登場したときは冷たい雰囲気だったが、相手の選手が入場すると応援する声が大きくなった。それは仕方のないことだ。当時は少し頭にきたが、開始のゴングがカーンと鳴れば観衆もよく見えないし、今回も試合に集中するだけだ。

――実際、韓国内のファンの一部でも、今回の試合ではKIDが勝つと言う人もいる。それについてはどう思うか? 
ジェヒ よくわからない。ネットを見ていると、自分が負けそうな気になる。それから「冥福を祈る」という書き込みも見た。だがそれほど気にはしていない。自分は常に挑戦者の立場にいる。常に挑戦しようとしているが、自分のほうが有利だとは思わない。今回の試合は絶対につまらないものにしたくない。おそらく倒れているのはKIDのほうだろう。前にも言ったが、今回の試合はチャンスでもあり、危機でもある。俺はこのチャンスをモノにしなければならない。試合で日本に二度行ったが、一度目は5ラウンドのあいだずっとキックを食らって車椅子に乗って帰国した。二回目の試合では5ラウンドで判定負けをしたあと血尿が出た。日本での試合はダウンを奪えなければ勝てないので序盤から強く前に出なければならない。当時の試合でも身体が限界に至ったが、我慢したら心臓がバクバクしたのを感じた。これまで日本ではよくない思い出が多いが、今回はいい結果が出ることを願っている。

――今回の試合は別にして、闘いたい選手はいるか? 
ジェヒ 本当に尊敬している選手だが、パク・ビョンギュ館長(日本では朴龍のリングネーム)、そして日本の石井宏樹と闘ってみたい。2人とも個人的に好きな選手だ。もちろん、いまは自分の実力が彼らのレベルにまでは到達していないことは知っているが、チャンスがくればまたタイに飛んで練習を積んで闘いたい。最近、自分の名前を出してくれたキム・ドンヒョン(UFCファイターとは同名異人。現在は『武神』で活躍中)ともチャンスがあればムエタイの恐ろしさを見せてやりたい。過去に自分に勝ったことのあるチョン・ビョンとも闘いたい。あの試合が終わってから彼に勝つために一生懸命練習した。

――最後に、あなたが負けると言っている人々に一言あればどうぞ。
ジェヒ 多くの人々が俺が負けると考えているのは自分も知っている。彼らが願うこと、そして日本人が何を望んでいるか、よく知っている。俺はその多くの人に堂々と反抗するだろう。妥協はしない。このチャンスを掴むために5年もトレーニングしてきたんだ。自分のすべてをこの試合に注ぎこむ。この試合は立ち技の試合であり、自分のプライドがかかっているので絶対に負けることはできない。決してつまらない試合はしない。

※※※※※引用終わり※※※※※※

印象として、キックボクシングをするうえで決して環境がいいとは言えない韓国にあって、チョン・ジェヒは強くなるため、成功するために、わずかな可能性にかけて地道に本場のタイでムエタイに取り組み続けた男だった。自分の置かれた立場をよくわかっていて、驕りも怖気づいてもいなかった様子。タイからコーチを呼んでトレーニングしたKIDとは違って、1年間タイで技術を磨いてきたハングリーさが実を結んだ結果となったようだ。

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ジュエルス、石岡 vs 藤井

ジュエルスを観させてもらった。結果はこちらで
お目当ては、やはりメインの石岡沙織 vs 藤井恵戦。個人的にはこの試合に向けて主催者が“世代交代”と煽るほどの機運の高まりを感じられておらず、どちらかというと藤井選手が石岡選手に胸を貸す“チャレンジマッチ”という印象を持っていた。だが、実際に試合を観てみると、こちらが勝手に抱いていたイメージを覆す白熱した試合となった。
 

IMG_8974.jpg石岡選手はかなり藤井恵対策を積んでいたのだろう。タックルに来られてもしっかりスプロールで切っていたし、組みつかれても立ちレスで脇を差してグラウンドの展開を最小限に抑えていた。しかし、そうした相手が練ってきた対策の上を行ったのが、「打撃でも一歩も打ち負けない」という気迫にあふれた藤井選手のスタンドの打撃だった。
 

むしろ石岡選手のほうが気押されているイメージすら抱いてしまったほどだ。相手の土俵で精神的な優位を一切与えなかった藤井選手の、勝ちへの貪欲さこそが女子格闘技界において“孤高の先駆者”と呼ばれる所以なのだろう。
 

けれども石岡選手はこの試合を通して、近い将来、本当に藤井選手たちに“世代交代”を突き付けるファイターになりうる可能性を見せてくれた。藤井選手と闘って負けはしたが、いまはそうした結果よりも、遥かに得られる経験のほうが大きいに違いない。
 

fujii.jpg大会後、sherdogの某記者は「この試合は藤井選手にとってリスクしかない試合。よく受けたね」という感想を漏らしていたが、藤井選手にとっては確かに勝って当たり前かもしれないが、そういう環境の中で「むしろ自分に勝ってほしい」と藤井選手が言った言葉を忘れず、石岡選手はまた自分を磨いていってほしい。
 

男ほどの激しい言葉のやりとりがあるわけではないが、この試合には藤井選手の、相手を包み込むような思いと勝ちを手にするために必要な意欲が存分に込められていた。女子格闘技の魅力とは、本能的に勇猛果敢に攻めまくる男子格闘技の世界とは一風違って、こうした側面のことを言うのかもしれない、そう思いながら帰途に着いた。
 

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ジェームス・ウィルクス@TUF9

先日のTUFシーズン9 Finaleでインパクトのある試合をして優勝したジェームス・ウィルクスが気になっていたので、今更ながらにTUFシーズン9をチェック。二回戦のフランク・レスター戦はまだ観られていないが、一回戦と決勝のレスターとの再戦は観たので感想を。

■TUF一回戦
○ ジェームス・ウィルクス[1R 30秒]チェ・ミルズ ×
wilks.jpg最初の展開の打撃戦でウィルクスは相手のパンチを数発もらう危なっかしい立ち上がり。ストレートに打ち抜いてくる相手の打撃に対して、ウィルクスのパンチは大振りだし、ガードも甘い。ミルズが突っ込んできたところに、ウィルクスは下がりながら頭を下げて相手の足に組みつき、そのままグラウンドに持ち込み金網際で足関をトライ。これも中途半端な距離だったので相手のパウンドを7~8発まともにもらっていたが、ウィルクスは身体を回転させてヒールホールドをフックすると、相手は悲鳴を上げてタップ。結果はウィルクスの秒殺勝利だった。

この試合だけを見ると、ウィルクスには肉体面と打撃、足関をトライしたときのパウンド対策については改善点がかなりあるように見えた。UFC本戦に行くならやっぱり、全体のレベルアップがないと厳しい気がする。グラウンドの展開になったのは偶然のようにも見えたし、今成選手のように演技して寝技に持ち込んだのかは、ちょっと判断がつかなかった。

■TUF準決勝
○ ジェームス・ウィルクス[3R 2分20秒 TKO]フランク・レスター ×

iji.jpg二回戦でウィルクスはレスターと試合をしており、2Rで腕十字を極めて勝っているが、準決勝に上がるはずの選手が感染症にかかったため、レスターが準決勝に繰り上げ出場で両者の再戦が決定。
ウィルクスはこれがTUF内で3試合目だが、かなり打撃がうまくなっている。左のジャブのスピードと精度が上がっているのでローキックも当たる。レスターには一度勝っているからか、かなりリラックスして闘っているように見える。1Rは後半胴タックルで組みついたものの、ウィルクスはテイクダウンをとれず。

2Rからは打撃でウィルクスが優位に立つ。ウィルクスは遠い間合いからの左ジャブを的確にヒットさせ、相手が強打してくると右のアッパーでカウンターをとり、時折ブラジリアン風のハイキックを命中させるなど、いいテンポで攻める。3R、レスターはもう気持ちが折れていてウィルクスの右ストレートを立て続けに浴びてしまう。ここでウィルクスはクリンチに持ち込み、ヒザ蹴りをクリーンヒットさせてTKO勝ちを奪った。

この試合では一回戦で見えた課題をウィルクスはかなり改善していた。本来、寝技師であるウィルクスがスタンドの攻防でしっかり闘えるようになったことでかなり試合の幅が広がった。この成長があって、決勝のダマルクス戦での爆発につながるのね……。

※※※※
ウィルクスのプロフィールを見たけど、彼はエリック・パーソンの弟子だったのね。だから、あんなにキレる足関節がうまいのか! パーソンは世界各地での技術セミナーで参加者をドン引きさせるぐらいキテレツな技を惜しみなく披露するというけれど、決勝でウィルクスが見せた珍しい技は、そんな“技マニア”パーソンの直伝の技なのかも。

現在、ウィルクスは柔術の茶帯だが、もしパーソンから黒帯が与えられれば、彼の系譜は“コンデコマ”前田光世→カーロス・グレイシー・シニア→カーロス・グレイシー・ジュニア→ヒーガン・マチャド→エリック・パーソン→ウィルクスとなる。もっとも、ウィルクスは現在UFCと数千万単位の契約を済ませて、TUFの撮影終了後に自身のジムをカリフォルニアにオープンさせているのだが。

なんにせよUFC本戦でどんな活躍を見せてくれるのか楽しみな選手である。

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ジェイク・シールズインタビュー@MFIGHT

jake.jpg韓国の格闘技ニュースサイト『MFIGHT』がジェイク・シールズのインタビューを掲載している。いつものように英語→韓国語→日本語に翻訳。基本的に丁寧で礼儀正しいシールズの性格や、『MFIGHT』で初めてのインタビューということもあって基本的な人物紹介程度の内容に収まっている。できればしばらくは関係が薄そうなUFCのことよりも、同階級のマッハ選手やかつて「自分との対戦を逃げた」等の話をしていた青木選手を含め、かつて修斗のリングで経験を積んでいた日本格闘技界の話も展開させてほしかったが、インタビュアーは韓国人なのでそれは仕方のないところか。原文にある韓国についての印象や、韓国人の格闘技ファンへのメッセージなどは割愛した。

以下、MFIGHTより引用。(写真提供:Team Asgard)

※※※※※※※引用本文※※※※※※※

――まずは自己紹介から。
シールズ 名前はジェイク・シールズ。ウェルター級で闘っている。子どもの頃から二人の兄弟と山に登ったり、スノーボードをしたり、冒険をしながら遊んでいた。そういうことが現在の自分に非常に役に立っている。レスリングは9歳の時に始めたんだ。その後、大学の時にチャック・リデルと出会い、彼とトレーニングするようになった。一緒に練習し始めて、たった2週間で最初の試合に出場したよ。レスリングの奨学生としてサンフランシスコ州立大学に入学し、その後はシーザー・グレイシーのもとでトレーニングするようになった。

――ニック・ディアス、ギルバート・メレンデスととくに親しいとようだが、彼らとはどういう関係か? 
シールズ 彼らとは一緒のチームでトレーニングしていて、もう8年も親友として過ごしているよ。

――多くのファンが同階級のベストファイターとあなたの試合を観たいと思っている。ただ、ジョルジュ・サンピエール(以下GSP)をはじめとして、多くの選手はUFCの所属選手だ。将来的にUFCに移籍する可能性はあるのか? 
シールズ GSPとは本当に一度闘ってみたいね。でもいま僕はストライクフォースと契約している。ストライクフォースは本当に素晴らしい団体だよ。ただ、多くのファンが僕に期待していることがあるように、僕もいつかはGSPやほかのUFCの強い選手と対決できる機会がくると思っている。

――最近、キャッチウェイトでロビー・ローラーと闘ったが、階級が上の彼より身体が大きく見えた。上の階級(82キロ以下)で試合をすることは難しくなかったか? 
シールズ 僕がローラーよりも背が高いから、そう見えたのかもしれないね(笑)。彼は僕より6キロ以上重かったと思うよ。ローラーは本当に凄い選手で、今回の試合では幸運にも僕が試合をコントロールできた。自分はいつでも階級に関係のないトレーニングをずっとしている。それで今回はうまく闘えたんだと思う。ただ、相手の選手に合わせて作戦は試合ごとに少しずつ変えているよ。

――あなたのバックボーンである“アメリカン柔術”について説明してください。
シールズ 僕は子どもの頃からレスリングをしていて、いまでは柔術の黒帯を持っている。自分が考える柔術の魅力は相手の失敗を待ってそこにつけ込むことで、そしてレスリングは積極的に相手に向かっていくという違いがある。このふたつのスタイルを組み合わせて考え出した名前が“アメリカン柔術”なんだ。

――最近8試合中、6試合が一本勝ちだが、いつも試合で一本を狙っているのか? 
シールズ そうさ。すべてがいつも計画どおりなることはないけど、サブミッションのことを常に念頭に置いて闘っているよ。サブミッションは最も自分が自信を持っているテクニックだし、柔術がMMAで役立つということを多くのファンに見せたいと思っている。

――以前、インタビューでよく娘さんや家族について話していたが、家計を支える立場でプロファイターを続けていくことについてどう思うか? 
シールズ 以前は自分が愛する娘や家族を養うのが難しいほど、経済的には苦しかった。 でもいまは蓄えもあるし、近い将来、家族のために家を買う計画もある。一緒に旅行しながら家族とってもよい父であろうと努力しているよ。

――韓国のキム・ドンヒョンはUFCで成功することができると思うか?
シールズ できると思うよ。彼の試合は観たことがあるけど、彼のバランスと柔道のテクニックに驚かされたよ。新しい技術をもう少し学んで、努力を続けていけば大きな成功を手にすることできるんじゃないかな。

――GSP vs チアゴ・アウベス、ブロック・レスナー vs フランク・ミアの2試合は、誰が勝つと思うか? 
シールズ 全体的な経験と技術を見ると、GSPが少し有利だと思う。レスナーとミアの勝敗予想は本当に難しいよ。レスナーは非常に大きくてテクニックで封じ込められるサイズじゃない。でもミアは素晴らしいテクニックと経験を持っている。ただ、この2試合は本当に予想が難しいね。

※※※※※※※引用終わり※※※※※※※

 

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7.18『Art of War』

7.18『Art of War13: Rising Force』中国北京大会の対戦カードが出たようだ。
韓国人四選手が参戦、日本からは藤井勝久選手が参戦する。どういうスポンサーがいるかはわからないが、AOWは参加国数が凄い。主催国の中国、そして日本、韓国、さらにはフランス、モンゴル、ブルガリア、タイ、スロバキア、ウズベキスタン、オランダ、ポーランド、ブラジル、スウェーデンと多種多様。

日本の藤井勝久選手は以前ロドニー・フェベラスと呼ばれていたロドニー・グランダーと対戦。韓国人は6.7『武神』に出ていたキム・ドンヒョン(UFCファイターとは同姓異人)、ブルガリアのLubomir Guedjev、カン・ギョンホは中国のNing Guang You、ユ・ウソンはスロベニアのEgon Racz、イム・ジュンスはホーウス・グレイシーと対戦する。このホーレスは、正式にはホーウス・グレイシーJr.で、ヒクソンより強かったと言われる伝説のグレイシーの息子である。ホーウスは1981年にハングライダーの事故で死去している。ジュニアは195センチ、113キロという巨漢で、この試合がMMA3戦目。IFL、AOWで試合をしており、2戦ともチョークで一本勝ちしている。

イム・ジュンスは、6.4『ネオファイト12』のあと、AOWの関係者がその試合ぶりを気に入って参戦をオファーしていたのを見かけたが、まさかホーウスに当てるとは。グラウンドに持っていかれればホーウスの勝利は堅いだろうが、スタンドでイム・ジュンスがどこまでやれるか。この試合はちょっと注目だ。

それから韓国のユ・ウソンは将来有望ないい選手。韓国では“野生馬”と言われるように身体能力が高く、韓国格闘技界の強豪、マイケル・カク・サジン、キム・チャンヒョンに勝利しているし、今年の6月にはアメリカのローカルMMA大会『WARTOWN BEATDOWN』のメイン1RでTKO勝利している。その際には、アメリカに来ていた日沖発やマイク・ブラウンらとも練習したとか。 韓国内の格闘技市場はさっさと諦めて旺盛に海外の大会で経験を積んでいる点など、そのハングリーさも魅力。

ほかにはモンゴルのジャダンバ・ナラントンガラグも参戦いるようだ。まだまだ玉石混淆な大会だろうが、国際的な試合をふんだんに行ないながら地元の中国人を育てるのは、素晴らしい。現地に観に行きたくなってしまった。
 

■7.18『Art of War: Rising Force』
84 kg - Xu Chao (China) versus Yoann Gouaida (France)
90 kg - Luo Qiang (China) versus Dorjderem Munkhayasgalan (Mongolia)
78 kg - Kim Dong Hyung (Korea) versus Lubomir Guedjev (Bulgaria)
66 kg - Ning Guang You (China) versus Kang Kyung Ho (Korea)
72 kg - Bernueng Sakhomsin (Thailand) versus Jadambaa Narantungalag (Mongolia)
Main Card:
72 kg - Yu Woo Sung (Korea) versus Egon Racz (Slovakia)
72 kg - Wu Hao Tian (China) versus Shukhrat Minavarov (Uzbekistan)
96+ kg - Katsuhisa Fujii (Japan) versus Rodney Glunder (Holland)
72 kg - Dai Shuang Hai (China) versus Marcin Pionke (Poland)
96+ kg - Rolles Gracie (Brazil) versus Yim Joon Soo (Korea)
78 kg - Wang Sai (China) versus Claes Beverlov (Sweden)
 

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