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『ULTIMATE CHAOS』を観た (1)

遅ればせながら『ULTAMATE CHAOS』のPPV放送を観た。『ULTIMATE CHAOS』は米国南部のミシシッピー州のビロキシを本拠地にしているローカルMMA団体のFight Force International(以下FFI)とPrize Fight MMAという新しいプロモーターが共同開催した大会のようだ。

PPVの実況は見たことないボブ・シェリダンとかいう小太りな白人のおじさんで、解説はキンボに勝ちエリートXCを潰した張本人セス・ペトルゼリ(笑)。中継開始前には「ヘルシーだし、ハードに練習してる。次の試合が楽しみだよ」とコメント。もうひとりの解説はデイヴ・ファーガソン。Sherdogでダン・スバーン、ジョー・ドークセンに負けた2勝2敗の選手で同名の選手がいるが、同一人物なのか不明。

■175ポンド契約5分3R
○ ジェームス・オルソー[3R終了 判定3-0]ダニー・アバーディ ×

PPVの第一試合。両者は07年のFFIで一度対戦しており、このときはオルソーが判定勝ちをしている。アバーディはTUFのシーズン3に出ていたことがあるらしく、カリブ・スターンズ、ジョルジ・グージェウに連敗してUFCからリリースされている。デビューは韓国のWXFというのが香ばしい。彼もリー・ガクスーとアントンの弟子というわけか(笑)。対するオルソーはFFIを主戦場とするファイター。打撃で攻めるアバーディに対し、オルソーはテイクダウンで上を取ってパウンド、隙を見てギロチン、下からのアームロックを狙う。グラウンドで上をキープし、パウンドでポイントをゲットしたオルソーが判定勝ち。正直PPVの第一試合にしてはかなりキツいレベル。

■ライト級5分3R
○ ブランドン・ハーダー[2R 肩固め]ジョン・ハリス ×

両者はこれがデビュー戦。ハリスは黒の防弾チョッキにサングラス、長南のようにバンダナを口に巻いて登場。スキンヘッドに金のアゴ髭は高橋和生っぽい雰囲気。そのハリス、試合が始まるとガツガツとアグレッシブな打撃戦を仕掛けるが、ハーダーも慌てずスッと組みついてテイクダウンを狙いつつ、打撃戦でも一歩も引かず、ケージ際でドツキ合いを展開。手数ではハリスだが、ハーダーはパンチ力があり、スミスはダメージを負ってしまう。2Rはハーダーがすぐにテイクダウンに成功。すぐにパスを狙うが、スミスも下から腕十字をしかけ、極まらないと見るとポジションを奪ってマウントを奪取。だが、スタミナが切れて爆発力がなくなったのが痛い。パウンドを打った際にガス欠でハーダーにスイープされ、マウントからパウンドの連打を浴び、最後は肩固めを食らってジ・エンド。両者タフでアグレッシブなシーソーゲームでいい内容だった。第一試合と違って外国の無名の新人でもこんな試合なら充分楽しめる。

■160ポンド契約5分3R
○ トム・アテンシオ[2R終了 TKO]ランディ・ヘデリック×

ご存知、『アフリクション』の副社長トム・アテンシオがプロMMAマッチに登場。巨万の富を手にしていて、すでに42歳のアテンシオ。いったい何をやっているんだと思う人もいるかもしれないが、試合を見て納得。この人は心の底からMMAが好きなんだな。25歳の相手に序盤ボコられてフラッシュダウンを喫すも、無尽蔵のスタミナでアクティブに動き続け、2Rにはヘデリックを追い込み、テイクダウンからのパウンドで猛追。2Rが終わっても気力充分のアテンシオに対し、ヘデリックはうわごとのように「もうダメだ。続けられない」を繰り返し、2R終了時に試合を放棄。鼻が折れていたという話があるが、ヘデリックが折られたのは心のほうだった。

試合後のアテンシオのマイクだが、「紳士的に挨拶」とか、「ダナ・ホワイトの名前は出さず」とかいろいろな記事があったけど、PPV放送で観たらアテンシオは以下のように話していた。

aTENCIO.jpg“Randy, thank you very much. You are tough kid. Hey Randy, screw Dana White for what he said about you bro. Screw him. He is not in the Ring. OK? Anybody who steps in the ring I got a lot of respect. It's not the critic who counts. It's the person who comes in here and puts their heart on the line. Win, lose or draw at least they had the balls in their life to step in here.”

「ランディ、ありがとう。キミは本当にタフなヤツだ。ランディ、ダナ・ホワイトがキミに何を言ったとしても、そんなの放っておけ。あんなヤツ、放っておけ。ヤツはリングに立っていないんだ。誰であれ、リングの上に立つ者であれば、俺は本当に尊敬する。批評家はどうでもいい。ここに来る者は自分の心をさらけ出しているんだ。勝つにしろ、負けるにしろ、引き分けるにしろ、少なくともキミはこのリングに上がる勇気を持っていたんだ」

普段のアテンシオは確かに紳士的であまり挑発もしないが、試合後は42歳にして命を懸けたリングで闘って勝利したこともあって興奮しており、マイクも胸にジーンときた。アテンシオとダナは生き方が全然違うし、どちらが正しいとも言えないが、少なくとも今日のアテンシオはかなりカッコよかった。

アテンシオは元シュートボクセのハファエル・コルデイロ、トレイシー・ヘス、ジョン・ディクソン(懐かしい!)らとトレーニングを積んでおり、試合でも一時も止まらず、常にアグレッシブで前に前に出て闘っていた。1Rが終わったインターバルの際には観客もスタンディングオベーションを送っていたように、この試合は決してイロモノなどではなく、小気味よくケレン味のない試合だった。42歳でこれは凄いと思う。

金満団体だとか、アパレルブランドの宣伝のために道楽でMMAをやっているとか、いろいろと『アフリクション』に対する批判は聞かれるものの、この試合だけでもアテンシオのMMAに対する愛情や心意気というものは充分に伝わったんじゃないだろうか。

長くなったので、後半は別エントリーで。

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